クラウド時代の人材育成を考える 1
CompTIAでは、現在「CompTIAクラウド調査」を公開し、現在のクラウド環境の企業での導入状況や推進する上での問題点などについてご案内しています。(「CompTIAクラウド調査」は、こちらからご覧ください。)
調査報告でも様々な課題や問題点などについて触れています。では、実際にクラウド環境を導入する際に必要となる人材とはどのような人材なのか。また、これらの人材はどのように育成すべきか。
今回、CompTIA日本支局では、各企業の第一線で活躍をされており、またCompTIA認定資格の開発にも携わっていただいているCompTIA SMEコミュニティの皆様と、2012年5月より日本語試験の提供が開始されたCompTIA Cloud Essentialsの開発パートナーであり、トレーニングパートナーでもある株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックの皆様に座談会形式でインタビューをお願いしました。
今回は、インタビューの模様の第1回をお伝えします。
<参加者の皆様> | |
CompTIA SMEコミュニティ (社名50音順) | |
NTTデータ ジェトロニクス株式会社 堀江 和昭 氏 | |
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社 時田 剛 氏 | |
オムロンフィールドエンジニアリング株式会社 古田 拓 氏 | |
日本アイ・ビー・エム株式会社 平山 敏弘 氏 | |
富士ゼロックス首都圏株式会社 神﨑 賢太郎 氏 | |
株式会社ラック 長谷川 長一 氏 | |
株式会社ラック 安田 良明 氏 | |
株式会社 ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック 富田 勲 氏 / 飯久保 翔 氏 / 岡本 宗之 氏 | |
CompTIA日本支局 板見谷 剛史 / 吉村 睦美(編集) |
クラウドの市場と導入の上での課題
富田氏
皆様、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。さて、本題に入る前に、本日のテーマとなっているクラウドの市場規模について、少し触れておきたいと思います。クラウドに関しては、各社から様々な調査報告が出ていますが、2015年には、1200億ドルや1500億ドルになるような市場で、ますます活性化するであろう市場と言われています。別で実施されているGartner社の調査では、2014年までに43%の企業がクラウド技術の利用を想定していると報告されています。日本国内でも、企業の取り組みは進み、一時のクラウドに対し過度に期待をかけるというステージから、現状をみすえ最適な形での導入が進められているようです。企業の導入に並行して、日本政府でもクラウドの導入が徐々に進みつつあるというような状況でしょうか。
神崎氏
日本政府ではありませんが、自治体様という意味では、全国のコンビニエンスストアなどのKIOSK端末で住民票が取得できる仕組みに対して、富士ゼロックスのソリューションが活用されています。ただ、全国の自治体様で一斉に実施したわけではなく順次全国展開が進んでいるようです。
富田氏
現実的には、県単位で導入が進んでいるといった感じなのでしょうか。
神崎氏
そのようですね。もちろん全国で共通して実施できれば、利便性も上がるかと思いますが、現実としては、地方自治体ごとに民間の企業と共同で進めているようです。
富田氏
なるほど。また、企業での導入に関連するお話に戻りますが、日本国内の調査報告などを見ると、2009年12月の時点で40%近くの企業がクラウドサービスを利用している、または今後の利用を考えていると回答しています。クライド利用の大きな理由として、大企業では「運用・保守のコスト削減」、中小企業では、「初期コストの削減」を挙げられているようです。しかし、初期費用として見た時には、確かに削減になる場合も多いかと思いますが、運用コストとして見た場合には、一概に削減につながるとは言えない場合が多いのでしょうかね。
神崎氏
本来であれば、導入事例として、クラウドを導入することによってこんな風にコストが削減できたなどのケースがあると、企業としては、導入に関しての検討も進めやすいのでしょうね。
堀江氏
クラウドという言葉が出てくる少し前の話になりますが、地銀等のお客様では、共同センター化というのが進められました。共同して開発したソリューションを一か所のセンターにおいて、複数の会社が使っていくという仕組みです。この仕組みの導入が進む一方で、クラウドという言葉が登場してきて、”何が違うんだろう”と言った論議になることがあります。
こういったケースのように、既存ソリューションとはっきりとした区別ができていないこともあり、クラウド というくくりでの導入メリットを算出しづらいということはあるかもしれません。
富田氏
当社の講義の中でも、ASPとSaaSは何が違うのといったことや、アウトソーシングと何が違うのかといったようなことを聞かれたりすることがよくあります。共同センターについては、トレーニングの中では「コミュニティクラウド」といったような名称ででてきますが、確かにそれぞれのサービスについて定義があいまいというのが、クラウド導入を難しくしている要因の一つであるかもしれません。
堀江氏
前述の共同センター化も、その時々やベンダーによっては、xxxクラウドという名称を使うケースもありますが、やはり定義は少し曖昧な部分があるかと思います。
神崎氏
クラウドに関しては、言葉の自体が、他のITに比べても定義されていないことも多く、これらがきちんと整備されないと、一つ一つを理解する必要があるため、一般に定着をしてくのが難しくなってしまう場合がありますね。
富田氏
そうですね。日本国内でも、例えばNIST(National Institute of Standards and Technology)の定義が採用されるとか、何かしらの基準がないといけないかもしれないですね。現時点で、いろいろなメーカーでのクラウドサービスの定義を見てみると、若干違っていたりする場合があります。世界共通で使われている定義がベストではありますが、日本独自で定義をするのであれば、それもよいのではないかとも思っています。
第2回につづく
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