CompTIA認定資格活用インタビュー
時代のニーズを反映する文書情報管理士試験とCDIA+の関係
〜社団法人日本画像情報マネジメント協会〜

CompTIA認定資格活用インタビュー第19回は、CompTIA認定資格「CDIA+」が上級試験の受験前提条件となっています「文書情報管理士」試験を主催していらっしゃいます日本画像情報マネジメント協会 検定試験委員会担当理事 廣岡 潤様と検定試験委員会委員長 柏崎 朋之様にお話を伺いました。

受験者が増加していらっしゃる背景などともお話をお伺いいたしました。

 
CompTIA(以下、グレー部分はCompTIA )
柏崎様、廣岡様の業務内容をお願いできますか。

【廣岡 様】
複写サービスをメインに取扱っています株式会社ニチマイで責任者をしております。資料のマイクロフィルム化及びデジタル化、それに関わる機材、ソフトウェアなどの提供も含め展開しています。JIIMAでは検定試験委員会の担当理事をしております。

【柏崎 様】
株式会社PFUのニュービジネス推進統括部ビジネス企画部で、これからの新しいビジネスを開拓する部署に所属しております。当社は、イメージスキャナやソフトウェアを中心とするプロダクト製造事業、SI事業、ITサービス事業、またお客様のニーズに合わせたハードウェアの設計受託などを行っています。JIIMAでは、検定試験委員会の委員長を務めております。

 
「文書情報管理士」の歴史を教えていただけますか。
【廣岡 様】
文書情報管理士は、1967年から実施されていました「マイクロ写真士」が始まりとなる試験です。マイクロフィルムは、文書を専用の機材で撮影し、マイクロフィルムに落とすもので、保存期間が長く、場所を取らないメディアとして、今も使われています。その後コンピュータ化により、業務の流れが変わっていき、一般的にもデータとして文書を保存することが非常に多くなりました。古くは光ディスクから現在はDVDまで、様々な保存メディアが出てきたのはご存知の通りです。
 
PCが出てきたのは劇的な業界の変化だったのではないですか。
【柏崎 様】
そうですね。Windows95が発売される前あたりに、マイクロフィルム用のスキャナが出まして、印画紙に落とすのではなく、PCに取り込むという工程ができるようになりました。ここから、資料の保存はマイクロフィルムで行い、活用する際はデータで落とす、というニーズが出始めました。その後、マイクロフィルムだけでなく、活用するデータを取扱うことが非常に多くなり、資格の要件を変える必要性が生じました。
1999年に「ビジョン21」といいますJIIMA全体での活動ビジョンを策定し、人材育成面においては「新資格プロジェクト」を立ち上げ、マイクロ写真だけではなく、文書画像情報管理に関する、時代に対応した、新たな人物像の指針となる大枠をつくりました。
そして「マイクロ写真士」にかわる「文書情報管理士」が2001年に誕生しました。
 
マイクロフィルムについて詳しく教えていただけますか。
【廣岡 様】
マイクロ写真が日本で認識されたのが、戦後まもなくのことで、もともとは軍事利用で使われていたものです。進駐軍が、日本が持つ技術資料を米国に持って帰る際、マイクロ撮影機を持ち出し、マイクロフィルムとして米国に持ち帰っていました。進駐軍が撤退する際、その撮影機を払い下げて、マイクロ撮影機が世の中に知られることになり、民間企業が買い受けたことから始まりました。
その後、持ち出された技術資料を日本で広く世間に広めるため、マイクロフィルムを買いうけ、印画紙に焼き付けて複製するサービスラボができ、その後民間企業での文書保存の利用へと浸透していきました。
 

マイクロフィルムで保存されたものは、今も残っているのですね。

【廣岡 様】
はい。マイクロフィルムは、ISOで期待寿命を500年とされている、法的証拠能力を持つ唯一の媒体です。

 
話を「文書情報管理士」試験に戻しますが、開発はどのように行われているのでしょうか。
【柏崎 様】
「新資格プロジェクト」での人物像の指針をうけて、文書情報管理士としてのスキル定義を検定委員でまとめ、その定義に合わせて教科書を開発しています。その中から必要な知見に関する試験問題を、同じく検定委員で作成しています。2001年からアップデートを重ね、時代に応じて必要なものが追加され、そうでないものが削除されていきながら、現在の出題構成となりました。
 
「文書情報管理士」試験は、市場背景に合わせて、どのような試験になっていますか。
【柏崎 様】
一般企業においては、e文書法の制定、個人情報保護法、内部統制制度などに関連し、組織内の情報をいかにマネジメントし、ハンドリンクするかが、現在課題となっており、このニーズに対応できる構成になっています。公的機関において、文書情報管理士資格を入札条件に課すことが最近ではございます。
内容は、法律・規制、標準規格、マイクロフィルム、スキャニングに関する技術知識や作業工程、IT知識などが問われます。デジタルデータからのマイクロフィルムへの保存、またその逆についても対応しています。技術的な背景は、JIS規格、ISO規格で裏づけされていることが特徴です。
2級、1級、上級まであり、2級と1級は年2回、上級は年1回行っています。
 
CompTIA認定資格「CDIA+」が上級試験の受験前提資格になっていますが、その背景をおしえていただけますか。
【廣岡 様】
上級の試験は以前からありましたが、当時は筆記と論文を提出することになっていましたが、国外での業務経緯の増加、加えて上級資格の門戸を広げるため、理事からCDIA+の名前が挙がり、CompTIAにコンタクトをとったのが最初です。
文書管理に関するコンサルティング業務能力については「CDIA+」で評価できますので、JIIMA側で上級試験として、CDIA+にはない、国内での法律・規格、それらに合わせた工程などを中心に択一式に問題を用意しています。補完関係により、日本でも、世界でも評価できる試験体系になっているのが特徴です。
 
受験をされています企業などでご紹介いただけるところはございますか。
【柏崎 様】
一番参考となるのが、株式会社ジェイ エスキューブ様や、ヤフー様です。

以下のURLでご紹介していますので、よろしければご参照下さい。
≪株式会社ジェイ エスキューブ≫ http://www.jiima.or.jp/kanri/int2.html
≪ヤフー株式会社≫ http://www.jiima.or.jp/kanri/int.html

また、ある企業では、ドキュメントイメージングに関わるSEのキャリアパスに、文書情報管理士の取得が課せられていまして、最上級のSEになるためには、上級文書情報管理士が必要になっています。現在社内にCDIA+60名、文書情報管理士は100名弱いらっしゃるそうです。

【廣岡 様】
協会外での受験者も多くなってきました。一般企業や官公庁で文書管理を扱う方、いわゆる利用者側が受験するケース、あと診療記録の管理で病院関係者の受験もありますね。
特に貴重な資料はマイクロフィルムで、日々更新されるものはサーバやDVDで、など、様々なメディアの特徴を活かして、様々な事業形態での文書管理の課題に、適切かつ効率的な管理を行うことができることが期待できます。

 
今後のご案内いただけるものがあればお願いします。
【廣岡 様】
8月に検定試験の要項がすでに出ておりまして、以下のURLにご案内しております。
詳しくは、「文書情報管理士検定 受験について( http://www.jiima.or.jp/bunkan/buntest_07_index.html )」をご覧下さい。
参考図書のご紹介や、東京、大阪での対策講座、CDIA+の対策講座も用意しています。
20名以上あたりであれば、出張講座も開催していますので、お問い合わせ下さい。

【柏崎 様】
上級試験に関しては、CDIA+を取得していれば、2級、1級を受けなくても受験可能ですが、傾向としては段階的に受験をされる方が多くいらっしゃいます。CDIA+の受験の場合でも、着実に無理なくチャレンジできると思いますので、是非ご検討ください。

 
ありがとうございました。
 
CompTIAより

日本画像情報マネジメント協会様でのCDIA+の活用は、双方の資格の役割と目的を理解し、目指すべき人物像を評価する「ものさし」として連携した好例です。日頃何気なくDVDなどに保存していますが、データの重要性や用途にあわせて、保存するメディアを使い分ける必要があることを感じました。