現在のIT運用において確固たる地位を築いているクラウドコンピューティングにより、組織はアーキテクチャの最適化に焦点を合わせ、新興テクノロジーを実現する手段としてクラウドを活用していることが、CompTIA実施の調査で分かった。 米国企業500社以上に実施された調査では、91%の企業が何らかの形でクラウドコンピューティングを利用していることが分かった。4分の3が、クラウドコンピューティングの経験年数を1年から5年としている。また、10社中6社は、ITアーキテクチャの40%以上をクラウドに依存している。 「クラウドベースのITアーキテクチャの割合が、クリティカルマスに近づいていると同時に、クラウドコンピューティングが主導する最先端トレンドへの関心が高まっています。」とCompTIAのテクノロジー分析のシニアディレクタSeth Robinsonは言う。 それを裏付けるように、企業の81%が、クラウドはオートメーションに向けた取り組みを強めた、と回答している。 「何よりもまず、クラウドコンピューティングは、それが既存の計画の実施を加速させるものであれ、新たな用途を試すものであれ、ユーザーのテクノロジーの可能性を広げるものです。クラウドプロバイダーと連携することで、完全投資や社内スキルの構築を行うことなく、強力な新しいツールにアクセスすることが可能となります。」 加速するモメンタム(勢い) 以前のCompTIA調査では、組織のクラウドコンピューティングに対する曖昧な定義や誤解から、導入の遅延や停滞が生じているように見えた。今回の調査では、多くの企業が、クラウドで活用できる構成やクラウド導入の勢いに、より良い理解があることを示している。 企業の大半である83%が、何らかの形でクラウドを再度マイグレーションしている。これらマイグレーションのほとんどは、インフラストラクチャまたはアプリケーションのいずれかを、他のクラウドプロバイダーに移すといったものである。その他の理由には、より優れた製品と機能の活用(44%)、セキュリティの向上(41%)、コストの削減(37%)、オープンスタンダードの拡大(35%)がある。 調査対象企業の半数は、クラウドサービスのためにクラウドベンダーとサードパーティーの両方からの協力を得ていると回答している。企業の約40%は、主にクラウドベンダーと直接仕事をしていることが分かった。 進化するIT部門の機能 内部ITスタッフの役割については、クライド導入初期には大きな疑問が投げかけられ、ITスタッフの仕事の重要性が低下する、あるいは仕事が消えてしまう恐れすらあった。 「ほとんどの場合、内部のIT部門の機能は、日常業務がクラウドプロバイダーに移ったことで、より戦略的な作業に対応するようになりました。しかし、クラウド中心の環境となった今、内部IT部門の役割に関する具体的な詳細は、まさに決定している最中なのです。」Robinsonは述べている。 内部IT運用に起きた一般的な変更事項は、クラウドを考慮した新しいポリシーの策定(51%)または既存手順の更新(50%)である。セキュリティは、それらを上回り、71%の企業がクラウド使用の増加に伴い新しいセキュリティのプラクティス(対策)に焦点を置いていると回答した。 セキュリティの考慮事項は、内部IT部門のクラウドスキル構築の議論に発展する。新しく向上したクラウドセキュリティスキルは、企業の69%がその必要性を言及していた。その他に必要とされるスキルには、アプリケーション固有の知識(59%)、仮想化(53%)、最適化(52%)、パフォーマンス分析(52%)が含まれる。 CompTIAの調査「Cloud Computing Operational Efficiency in the Channel(チャネルにおけるクラウドコンピューティングの効率性)」は、米国の502社のプロフェッショナルを対象に2018年4月に実施したオンライン調査に基づく。完全な調査は、以下から入手可能。https://www.comptia.org/resources/cloud-computing-and-it-operations.