多くのベンダーとチャネルパートナーの間で、フレームワークとして広範囲に活用されているITベンダーパートナープログラムは、市場に特化した製品やサービスの増加や、クラウドコンピューティングへの依存の高まりに備えた展開をしていることがCompTIA実施した調査でわかった。
CompTIAの調査「ITチャネルパートナープログラムの近況(The CompTIA study
State of IT Channel Partner Programs)」では、ITソリューションプロバイダーの多くが、自社で登録をしているベンダーパートナープログラムに満足しているという結果がでた。過去1年では経済停滞を受け、多くのパートナープログラムのベネフィットや情報リソース、インセンティブにおいて変化があったものの、高い満足度を維持している。米国IT企業400社を対象に行った同調査では、過去1年間におけるパートナーのプログラムに対して、82%の企業が「満足」「非常に満足」を回答していた。
また、この1年を通し、チャネルプログラムは、更なる変化を遂げるであろうことが見込まれている。
「ソリューションプロバイダーは、クラウドコンピューティングの出現が、自社のパートナープログラムの在り方に影響を与えるであろうことを十分認識しています。また、ITソリューションプロバイダー10社のうち4社は、クラウドコンピューティングモデルが、チャネルパートナープログラムの開発や構造に大きな影響を与えるであろうと回答しています。」CompTIAの業界分析(industry
analysis)のディレクターであるCarolyn April は述べている。
クラウドコンピューティングがパートナープログラムに与える実際の影響について、ソリューションプロバイダーに聞いたところ、56%が「クラスルームベースのテクニカルトレーニング」が挙げられた。また、その他の影響がみられるプログラム要素には「24時間テレセールスサポート」「一般的なベンダーパートナーコミュニケーション」「テクニカルおよびビジネストレーニングコスト」が挙げられている。
チャネル企業において、さらに商品やサービスの特化していく動向や、その他の市場変化により、チャネルパートナープログラムには、多大な影響があると考えられている。
「パートナーモデルを提供するベンダー側でも、付加的なベネフィットを提供し、パートナープログラムの質を上げることを目的とし、パートナー側にも一つ以上の特化分野を提供できるようにお願いをしています。このような特化分野には、ユニファイドコミュニケーションのような特定の製品やサービスに対する専門知識またはスキルが含まれます。ベンダーはパートナーに対して、単に製品の注文だけ行う関係ではなく、専門的なビジネスエリアのスキルを持ち、自社のセールスにサービスやコンサルティングといった価値をもたらしてくれる関係を望んでいます。」Aprilは述べている。
製品の優位性、ビジネスのしやすさがプログラム選択に影響を与える
調査に参加したチャネル企業の60パーセント近くは、パートナー選びの大きな要因として製品の優位性をあげている。また、53%がベンダーとのビジネスのしやすさでパートナーを選択と回答している。一方で、パートナープログラムの参加要因として最も考慮されないのが、販売商品に対するマージン率であった。
調査対象であるチャネル企業の半数以上が、ベンダーパートナープログラムに登録をしており、複数のベンダーとのアライアンスがある。ITソリューションベンダー10社のうち6社が、5から14のベンダーチャネルパートナープログラムに登録している。また、3分の1が10以上のプログラムに登録していることがわかった。
「来年以降、クラウドコンピューティングなどの特化したビジネスエリアが増加し、さらに、経済の低迷により、ベンダー、ソリューションプロバイダー両社のビジネスモデルに影響を与えることから、プログラムに変化や調整が行われることは明らかでしょう。パートナープログラムおよび、それに対するソリューションプロバイダーが行う意思決定プロセスは必然的に、新しい形となり変化していくでしょう。」Aprilと述べている。
この調査は、ソリューションプロバイダー視点でみたパートナープログラムの現状を把握することを目的とし、ITチャネルを提供する米国のIT企業400を対象にオンライン上で実施された。
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