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クラウドを「活かせる」人材に!-CompTIAクラウド調査報告 5



CompTIA米国本部では、2010年より、毎年 TRENDS IN CLOUD COMPUTING」というクラウドコンピューティングに関する企業での導入や傾向の調査を実施しています。

本レポートでは、CompTIA米国本部の調査にて海外での導入実態や傾向を探ると共に、CompTIA日本支局も賛助会員として活動に参加している一般社団法人 日本コンピュータシステム販売店協会(以下、「JCSSA」の「中堅・中小企業における現状システムの老朽化に伴う対応策と事業継続計画(BCP)に関する調査研究(平成243月発行)」での調査レポートより日本国内でのクラウドコンピューティングの普及、導入の現状についても、合わせてレポートさせていただきます。

 

CompTIA米国本部調査

-Cloud Computing: Pulling Back the Curtain (September 2010)

  調査方法:オンラインによるサーベイの実施(2010629日~714日)

  対象:米国のみ / 有効回答企業:602

-TREND S IN CLOUD COMPUTING (August 2011)

  調査方法:オンラインによるサーベイの実施(2010629日~714日)

  対象:米国のみ

  有効回答企業:ユーザ企業側のIT関連の意思決定者 500/IT企業 (チャネル企業)400

 

※どちらのレポートもCompTIAメンバー/パートナー企業の方は、CompTIA米国本部Webサイト(http://www.comptia.org )よりダウンロードしていただけます。レポート一式をご希望の方は、CompTIA日本支局までご連絡ください。
 



【前の記事を読む】

1. クラウドコンピューティングの市場
2. クラウドコンピューティングへの理解
3. クラウドコンピューティング導入の際の懸念事項/ 4.クラウドコンピューティング活用のメリット
5. クラウドコンピューティング導入の推進力
 



6. ITチャネルにおけるクラウドモデルへのビジネスモデルの変化

 この章では、今後クラウドサービスをビジネスとしてとらえているITチャネル企業の調査報告についてです。クラウドをビジネスとする多くの企業にとって、サービス自体は一部分の移行であっても、今まで長年培ったビジネス運用やビジネスモデルが変更されるため大幅な調整が必要とされています。提供するサービス形態や提供側となるスタッフのトレーニング、顧客への価格モデルなど検討しなくてはならない項目は数多くあります。

 

その中でも、まず初めに決定しなければならない項目としてあげられるのが、提供するビジネス形態の選択です。ビジネス上の観点からは多くの選択肢がありますが、現時点では、このモデルが最も有利となるといったような決定的な要素はないようです。CompTIA米国本部調査に参加した30%近くのチャネル企業が、クラウドビジネスに対して具体的なプランは全くない、もしくは部分的に内と回答しています。また、調査に参加した年商1億円~10億円規模のチャネル企業の半数が、クラウドビジネスに対するプランは、「戦略的」というよりむしろ「進める中で決定」といったスタイルに近いものであることがわかりました。


【表10:現在採用されているクラウドビジネス形態】

チャネル企業279による回答

 

CompTIA米国本部の調査実施時点では、IaaS= Infrastructure as a Service)としてのクラウドプロバイダー/ホスティングが、最も提供されているモデルとなりました。ITハードウェアベンダー/ディベロッパーの73%が、ITディストリビュータの50% が既に提供していると回答しています。また、これらの企業は、チャネルサービスや製品の提供だけではなく、クラウドのバックボーンとして大規模なデータセ ンターの運用も実施している企業が多く見られます。多くの企業が、こうしたンターを活用すること、ラウドサービスのホストファシリティとしてリソースを活 用することができます。

従 来のプロダクト型のサービス提供と異なる点として挙げられているのが、提供元ベンダーのブランドをそのまま利用しサービスを提供する形です。チャネル企業 の多くは、ホワイトラベルを提供せず、提供元のブランドのままサービスを提供することにより、サービスや価値の差別化をはかっていると回答しています。

 

また、クラウドサービスをビジネスとして取り組む際には、チャネル企業では、多くの課題への調整が必要となります。調査に参加したチャネル企業の約半数が、以下の課題を「非常に重要である」と回答しています。

 

n  適切なレベニューモデルの検討

n  セールス/テクニカルスタッフのクラウドトレーニングに必要となる時間/コスト

n  協業するベンダーの選択

n  キャッシュフロー/資金調達の検討

n  初期コスト

 

こ の中でも多くのチャネル企業が直面している難題の一つが、セールスの実施方法の変更です。セールス人材に対してのトレーニングを実施するために必要となる 時間やコストをどのように工面していくかの検討も必要となりますし、実績に伴う報酬プランなどについても再構築する必要があります。

 

そのため、チャネル企業にとってクラウドビジネスの提供は、企業のあり方そのものにも変化をもたらすものと言えるでしょう。例えば、今回調査に参加したISVindependent software vendor:独立系ソフトエアベンダー)の75%近くが、クラウドサービスの提供により、セールスやマーケティングプロセスに変更が生じたと回答しています。このような企業では、今までパッケージ化された製品のライセンスモデルが販売の中心となっていたことに対し、SaaSの実装によるクラウドサービスの提供へと移行していることにより、セールス面において大きな変化が生じていることが、その理由と言えます。

 

セールスプロセスの変更と同時に、多くの企業では、セールス人材に対する報酬プランの変更が必要になると回答しています。従来のモデルは、セールスがIT製品や案件を獲得した際に、報酬を検討するモデルが多く見られました。クラウドサービスにおいては、サービスの契約や月々の使用料等の売り上げは発生するものの、これまでの案件に比べ1件あたりの単価やサービスによる単価の違いなど考慮すべきことは散在しています。実際に、CompTIA米国本部調査に参加したVAR=value-added reseller付加価値再販業者)やITディストリビュータ企業の75%近くが、クラウドサービスの提供により最も影響を受けるセールスプロセスに「セールスへの報酬モデル」と回答しています。


【表11:クラウドサービスの提供により影響を受けるセールスプロセス】

 


チャネル企業281による回答



このような課題に取り組み、クラウドサービス提供への移行を可能にするため、チャネル企業の多くは、2010年から対応を実施しています。企業サイズや事業内容に関わらず、多くのチャネル企業がこの移行に備えて、テクニカル人材、セールス人材へのトレーニングに重点的な投資を行っています。チャネル企業の60%近くが、クラウドトレーニングへの投資を増大し、同様にVARISV企業の60%もセールス、サポート人材への投資を増大させると回答しています。

 







 

 


 

Co
mpTIA Cloud Essentials認定試験は、ビジネス、または技術的側面から見たクラウドコンピューティングの意義やクラウドの導入によるメリット/デメリットを判断し運用できる知識とスキルを証明する認定試験です。



CompTIA Cloud Essentials認定試験には、以下の内容が含まれます。

■ ビジネスの観点から見たクラウドサービスの特徴
■ クラウドコンピューティングのビジネス上の意義
■ 技術的な観点から見たクラウドのタイプ
■ クラウドコンピューティングの導入を成功させるステップ
■ クラウドコンピューティングによるITサービスマネジメントへの影響と変化
■ クラウドコンピューティングのリスクと影響


 

 

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